「う」の意味

【民俗地名語彙辞典】(松永美吉1994三一書房)

 

【地名用語語源辞典】(楠原佑介1983東京堂出版)

[宇、羽、卯、鵜、有、上] ①接頭語。オホ(大)、ヲ(小)、ウエ(上)などの転約 ②ウン(温)で温泉に関連 ③鳥類の鵜 ④動物の兎 ⑤十二支の卯。東の方向。卯の日。卯の刻(午前6時)

【全訳読解古語辞典】(外山映次2007三省堂)

う【宇】[接尾] 軒・屋根をあらわす「宇」から、建物を数える語

う【卯】[名] ①十二支の4番目 ②方角の名。東 ③時刻の名。今の午前6時、及びその前後2時間

う【鵜】[名] 水鳥の名。海岸や河川・湖沼にすみ、水に潜って魚をとる。

【高知県方言辞典】(土居重歳・浜田数義1985高知市文化振興事業団)

うーん ①[幼]大便 ②幼児を抱えて大便をさせるときの発語 ③いいえ 

うっ 強調の接頭語。後に続く動詞を強調形にする。「うと」も同じ。 

【日本語オノマトペ辞典】(小野正弘2007小学館)

うかうか 注意が不足しているさま

うきうき 心の弾むさま。晴れやかなさま

うじうじ 勇気がなかったり、具合のわるいことがあったりして、しなければならないと知りつつためらっているさま

うじゃうじゃ たくさん集まってこまかく動き続けるさま。うようよ

うずうず 虫などが気味悪くこまかく動き続けるさま

うだうだ 際限もなく、あれこれと言い訳や愚痴を言い続けるさま

うつらうつら よく見えたり見えなかったりし続けるさま

うと ぼんやりと意識が遠くなるようす。うっとり。うとうと

※春うらら。揺籃のまどろみといった流れを感じる。「う」は不安定気持ちのありよう、目標の定まらない動き?

うとうと 眠気をもよおすさま

うろうろ どうしたらよいかわからないまま、あたりを動き回るさま 

【川をなぜカワというかー日本語生成原理の発見】(渡部正理1999新人物往来社)

 

※これについては本文参照(渡部正理著)→ホームページ「日本語の起源」

鈴木健次のホームページ

 

 

よくある地名の語源 「う」

(20171020現在)

うすき(薄木・臼木・臼杵)【臼杵(秋丸)、ウスキ山(市ノ又・芳川)、薄木(大正中津川)、ウスギ(下津井・久保川)、ウスキ谷(広瀬)】

 ウス(薄)はアサと同根の語。臼の字を宛てる例が多い。「臼谷」は字義通りに解すれば、臼の形をした谷となるが、これらの多くは「浅谷」の意である。背後の谷沢が浅く、あまり奥深くないところからの命名。馬蹄形にえぐられた沢で臼形からきたのもある。

 ウスは、アサの母音交替と考えるとアサギ(浅木)は「フシの多い雑木」。このような雑木林になっているところが「ウスキ」であろう(民俗地名語彙辞典)。

 高知県方言辞典にはアサギについて「木質のやわらかな雑木。桧松杉などの針葉樹以外の雑木であれば、たきものとして扱う場合はすべてアサギである」とあるが、ウスキの項はみあたらない。

 四万十町の字に「アサキ」は見あたらないが「ウスキ」は多くの例があり、不思議である。「アサ・オソが全国的に分布するのに対し、ウスは周辺部に多いのが注目される」と吉田茂樹氏は述べているが方言周囲論から判断すべきか。 

 十川地区に横臼集落がある。長宗我部地検帳には「ヨコウス木」とあることからヨコ・ウスキを短縮してヨコウスを呼ばれるようになったのかもしれない。

 高知県の字一覧では、アザギ(四万十市大用)は1例。ウスキ(香美市香北町日浦込・大豊町東豊永西川・須崎市浦ノ内西分・津野町上半山赤木・四万十市古尾・大月町口目塚・土佐清水市下益野・土佐清水市宗呂)、薄木(大豊町西豊永佐賀山・越知町佐之国・須崎市浦ノ内出見)、臼木(津野町北川・四万十市伊才原・四万十市西土佐長生)、臼杵(香美市物部町中谷川)と22例(四万十町含む)ある。

うつけやぶ(ウツケヤブ・ウツゲヤブ・宇津計籔・宇津ガ藪)【魚ノ川】

 魚ノ川の字名のウツケヤブは土佐州郡志(1704-1711/刊本下p288)の奥呉地村の段に山川として「宇津計籔」を記してある。

 地名用語語源辞典にはウツ(内、打、洞、現、移、宇都、宇津)①ウチ(内)の転。入り込んだ地形。山谷の小平地。血族的集団を意味する氏と同源語。②ウチ(打)で崖などの切り取られたような地形③鹿、猪などの通る道(奈良吉野ほか方言) ④ウツ(空、洞)で空洞の意味。地溝状の狭い谷に命名されることが多い。ウト、ウトウに同じ。と書かれてある。また同書にヤブ(藪、養父、八夫、屋部、養母)とは①低木、竹などが生い茂っている所②藪神(由緒が分からなくなった屋敷神)にちなむ③焼畑④動詞ヤブル(破)と関連し、崩壊しやすい傾斜面を示すと書かれてある。

 高知県方言辞典で『やぶ』について「山の草木を刈り倒し、焼いて作物をつくるところ。焼畑(東津野・梼原・宿毛)」とあることから、魚ノ川のウツゲヤブは、音節をウツ(打)・ゲ(ヶ・接続詞)・ヤブ(藪、焼畑)の3音節に区分して解釈すれば、切り取られたような傾斜地で焼畑をしたところとなるか。

 岡村憲治『西南の地名p57』に葉山村の宇津ガ藪について「宇津は、打や内と同じ地形である。その谷の深いところ」とある。

 県内には、香美市香北町大井平、佐川町乙、津野町黒川、四万十市板ノ川に字名としてある。

うつしり(宇津尻・ウツシリ)【四万十町内各地にある字・ホノギ】

 西土佐の口屋内に「菜園畑(しゃえんじり)」という人気の農家レストランがある。庭先にある自家消費用の野菜を作る畑を土佐方言でそう呼ぶ。ウツは、ウツ、ウト、ウドなどとともに小谷の急な窪地、穴の形状からつけられた地形地名。狭隘な小谷の窪地に設えた畑の意味と考えられる。

うのたに(宇の谷)【見付】

 

 

うばがふところ(姥ヶ懐・姥ガ懐・乳母ガフツクロ)【魚の川、日野地、大正中津川、大井川、古城】

 南に面した日当たりのよい地名。山姥や姥神の伝説地名や中世の葬制地名など多様な由来。姥谷といった姥地名は多い。

 日野地地区の道路わきに「うばがふつくろ(優婆浮図所)」の説明版がある。中世以前の葬送の形としての説明書きである。出典は明示していないが、突然の難解な説明に驚きをもって読んだものだ。  →詳しくは「うばがふところ」をクリック 

うりうの(瓜生野)【南川口】

 四万十町内では南川口の字「ウリウノ」。県内にもあちこちにある。

 地名用語語源辞典ではウリ(瓜・売)は①湿地。ウルヒ(潤)の意②瓜の象形語もあるか③ウレ(末)の転訛④オリ(降。下)の転かと述べ、ウリウ(瓜生)は「湿地になったところ。この地名はほとんどすべて、平野の端、谷の奥にある。ウレ(末)・フの意であろう」

 長岡郡本山町の瓜生野について『土佐地名往来No596(平成27年12月14日付)』に「中世以前からの地名。長宗我部地検帳には売生野と記される。安徳天皇が工石山から白髪山を経てこの地に落ち延びてきたとき里人が瓜を安徳天皇に差し上げたという伝説が地名の由来と”新本山の歴史”に書いてある」。

 また、岡村憲治著『西南の地名p58』では中土佐町大野見の瓜生野について「川の曲がった形が、瓜に似ていること、「うの」は、広い原野」と書いてある。