そり(ソリ・ソリ田・大ソリ・中ソリ・曽利・曽理田)

■語源

 三つの解釈がある。

 一つは焼畑地名で、①動詞「逸らす」から樹林蘇生の期間”荒す”の意味の焼畑地名=ソリ・アレ

 二つはソル(反る)からきた崩壊地地名(災害地名)で、②動詞の「反らす(ソラス)」からきた崩壊地名=ソリ。

 三つは、③乾田となる水掛かりの悪い田がソリ田。四万十町の窪川付近では「微高地が河川に平行して連なる」地形を「おきぞり」と呼ぶ(窪川町史p59)。高南台地特有の河岸段丘の岸側(オキ。反対側の山側をオカ)のズレをそう呼んだのだろう。

 高知県下に「ソリ」小字が52か所あり、幡多郡域に多く分布する。 接頭語に「高ソリ5・沖ソリ3・大ソリ3」、接尾語に「ソリ田21」が目に付くことから、乾田となる水掛かりの悪い田を意味するのではないか。

 『高知県方言辞典』には「①乾田となる田(大方)。②耕地や道などの低いところに対して高いところ」とある。高知県では、水掛かりの悪い田=乾田ということだろう。

 

  ソリクボは高知県で「アゲ」と同じく高くて乾きの良い田所をいう(民俗地名語彙辞典・上)。高地の田をソリといい、ソリタは高くて用水の掛かりにくい田である。

 

 柳田国男は『地名の研究』で焼畑に関する山間地名として「ソリ」を「山間の地名の焼畑・切替畑を言い表すものに、九州・四国にはコバツクリ、コバキリという語が最も多いが、東国にはその類例がない。関東四周の山地にはサスという語とソリという語がある。ソリは動詞でソラスになり荒らすことである。3年から5年山を畑にして作ることをサスといい、それを再び樹林地に戻すのがソラスであったかもしれない。甲州などでは何々草里(そうり)といい、駿河・遠江ではゾウレ」と述べている(文庫p85)。

 焼畑地名としてのソリは関東四周と柳田氏はいうが、四万十町には「コバ」地名より「ソリ」地名が多い。コバ地名は大コバ(米奥/字名)、コバサコ(平野/地検帳にもでてくる中世以前の地名で現在は字名)の2カ所である。

 

 『地名用語語源辞典』では「ソリ」について、崖地・急傾斜地など崩壊地形を示す語が焼畑用語と共通するのは緩傾斜地が焼畑の最適地によると説明する。

 野本寛一『焼畑民俗文化論』に焼畑地名の一つに、焼畑の4年前後の輪作後の休閑期間(樹林の蘇生期間。15年~30年)を呼ぶ地名(ソリ・ソーレなど)として「ソリ系」をあげている。ただ、高知県の嶺北・仁淀川上流域では「アレ」、県西部の高岡・幡多郡では「作」が多く、高知では「ソリ」地名は焼畑地名ではないみたいだ。

 

20251229現在

■四万十町の採取地

 

■四万十町外のソリの採取地