よくある地名の語源 「み」

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みこのかわ(みこの川)【金上野】

 

みさきやま(三崎山)【興津△標高218.0m】

 

みしま三島・三嶋)【三島(与津地、昭和・轟)、三島ノ元(宮内)、三島野丸(床鍋)、三嶋神社(宮内)、三島神社(昭和)ほか】

 ミは尊称の接頭語、シマは一般的には海に浮かぶ島で、河道中にある島地も呼ぶことになる。また、若しくはヤクザのなわばりのシマなどの意で一定の管理用域、集落をいう。昭和地区の三島は、「川中島」とも呼ばれる。

 三島神社を各地に勧請したことからの伝播地名としての「三島」もある。大山祇神社(愛媛県大三島)と三嶋大社(静岡県三島市)

みすみた(三角田)【ホノギ:ミスミタ(勝賀野、川ノ内、下呉地、奈路)、ミスミ畠(宮内、藤の川、志和)】 

 

  民俗地名語彙辞典では「サンカクダ(三角田)」の項で「面積の狭い三角田。ミスマノクボあるいはサンバイクボともいう。三角田は田植えに先立ちその一角に栗の木などを立てて森をつくり田の神を山から迎える。神聖な場所として女の立ち入りを禁じているところもある。ホノギとしてはあるが、小字名としては「ミスミ」しかない。

 編集子が子どもの頃、ミトグチにある蓑でかくれるくらいの小さな三角地を母から借り受け田植えから刈り取りまでやったものだった。

 高知県内の字名では、三角田(南国市東崎、大月町鉾土、宿毛市小筑紫町伊与野、三原村皆尾)、三角(香美市土佐山田町西又、南国市野中、南国市三畠)、三角畑(田野町、香美市土佐山田町戸板島、四万十市西土佐津賀、土佐清水市大岐)、ミスミダ(四万十市江ノ村、三原村来栖野)、ミスミ(仁淀川町名野川、越知町中大平)

 

 三角田を神聖な領域とみるのは、その三角の形状によるものか。三角に神秘性・優美性を感じるのは万国共通かもしれない。フリーメイソンは三角定規と三角コンパスの組合わせだし、ピラミッドも富士山もそうだし、燧岳とか火打山の優美な山容は各地にある。シンプルであるゆえに記号化され、左右上下に向いたり色を付けたりすることで多くを語ることになる。ユーチューブが爆発的なヒットとなったのは「▷」の意味することによるものだろう。

 

みたき(三滝)【七里】

 

みのこし見残・三ノ越・箕ノ越)【勝賀野、数神、飯ノ川、上宮、昭和】 

 竜串の見残が有名。地名的にみると小さな尾根を越える小路のよう(民俗地名語彙辞典下p369・土佐民俗選集Ⅱp2580)

 四万十町内にもミノコシ地名は多く分布する。

みやくび(宮首・ビヤクビ・琵琶首・枇杷首)【大正、弘瀬、浦越、昭和】 

 「ミヤ」は、牛の古称であるビヤの転訛。クビは、焼畑の跡を示すクビタの転訛。つまり、地力が衰えた焼畑の跡地として牛の放牧と耕作を交互に行う「牧畑」をビヤノクビと呼んだ(牛のきた道p155/縄文の地名を探るp57)。

みやぞえ(宮添)【大井川地区の集落・組】 

  大井川地区の班組名称。大井川地区を流れる四万十川第1支川大井川の支流山口川沿いにある集落。大井川の産土神は、昔仁井田神社と云われた。現在は、この仁井田神社(宮添/当村大内西分部落ノ産土神)のほか、河内神社(新開/当村ノ内東分部落ノ産土神)、又口神社(又口/西方鎮祀の神社)、岡神社(竹窪/東方鎮祀の神社)、沖神社(曽利/北方鎮祀の神社)、大本神社(大本/南方鎮祀の神社)、琴平神社(寿徳)、神明宮(松原)、八幡宮(西田林)の八社を合祀して、「大井河神社」に改称し、中串に遷宮した。この仁井田神社沿いの集落が宮添(宮沿いの転訛)である。

 神社明細帳には仁井田神社の由緒に「当村大内西分部落ノ産土神」とある。大井川地区の西方鎮祀の神社。 

(20190927現在)