Vol.15 峠の地名

20160707胡

 

■「峠」 あの世とこの世の境

  峠は不思議な世界である。風が変わり、景色が変わる「向こうの世界」がここから始まる。

 

 古来から往来の障壁となるのは大川であり高山である。その高山を越えるためには坂を登らなければならないが、なるべく高度差のない山の鞍部を目指すのが一番である。そこが峠であり、その多くが隣の村との境界にもなっている。ときには分水嶺にもなる「別の世界」の始まりでもある。

 村人にとっては、罪人や役人を引き継ぐ場所であり、あの世とこの世を結界する祈りの場、災いを止める所でもある。

 旅人にとっては峠には往来の安全を祈る石があり、疲れを癒す湧き水があり茶屋がある。

 古くは、市もある賑わいの場、風葬をおこなう葬制の場、獣往来の狩猟の場。脱藩の道となる新天地への決意の場・・・

 

 などなど「峠」は、なんでもありの「ワンダーランド(おとぎの世界)」

 

■「土佐の峠風土記」 里と里をつなぐ境のかなめ 

  登山家・山崎清憲氏は土佐の峠を旅して高知新聞紙上に57峠を書き綴っている。それを収録した「土佐の峠風土記」に「とうげは多くの人々人を迎え送り、いつの日にか峠には柴が立てられ、手向けの地蔵が祭られた。やがて憩いの茶屋が建ち、峠の点景となった。そして峠は里と里をつなぐ境のかなめとなり、旅人の往還として長い歴史を歩んだ」と核心的心象を述べている。

▽掲載された峠名

宍喰峠(ししくいとうげ)、元越え(もとこえ)、四郎ヶ野峠(しろがのとうげ)、岩佐峠(いわさとうげ)、装束峠(しょうぞくとうげ)、栂坂(つがざか)、四ツ足峠(よつあしとうげ)、地蔵の頭越え(じぞうのかしらごえ)、矢筈峠(やはずとうげ)、笹越え(ささごえ)、京柱峠(きょうばしらとうげ)、北山越え(きたやまごえ)、杖立峠(つえたてとうげ)、三郷越え(さんごうごえ)、手結坂(ていざか)、根曳峠(ねびきとうげ)、国見越え(くにみごえ)、野地峰越え(のじみねごえ)、中ノ川越え(なかのがわごえ)、樫山越え(かしやまごえ)、辻越峠(つじごえとうげ)、仏瀬越え(ぶっせごえ)、長畝峠(ながうねとうげ)、望六峠(ぼうろくとうげ)、宇津野峠(うつのとうげ)、白土峠(しらつちとうげ)、荒倉峠(あらくらとうげ)、塚地峠(つかじとうげ)、仏カ峠(ほとけがとう)、蟹越え(がにごえ)、樫ヶ峠(かしがとう)、程ヶ峠(ほどがとう)、桑瀬峠(くわせとうげ)、シラザ峠(しらざとうげ)、手箱越え(てばこごえ)、大峠(おおとう)、鈴ヶ峠(すずがとう)、黒滝峠(くろたきとうげ)、水の峠(みずのとう)、引割峠(ひきわりとうげ)、矢筈峠(やはずとうげ)、布施ヶ坂(ふせがざか)、三嶽越え(みたけごえ)、霧生関(きりゅうぜき)、赤土峠(あかつちとうげ)、朽木峠(くちきとうげ)、竜坂(りゅうざか)、仏坂(ほとけざか)、名古屋坂(なごやざか)、焼坂峠(やけざかとうげ)、添蚯蚓坂(そえみみずざか)、七子峠(ななことうげ)、地芳峠(じよしとうげ)、九十九曲峠(くじゅうまがりとうげ)、四手峠(しでとうげ)、伊豆田峠(いずたとうげ)、松尾峠(まつおとうげ)

※峠(とうげ)が31か所、越え(こえ)が13か所、坂(さか)が6か所、峠(とう)が6か所、関(せき)が1か所。

※峠のトウ読みは池川が大部分。ただし、その他の峠もトウと呼ぶ地元の人は多いことだろう。編集子の地元「大正」では「サクランタオ」などと峠を”タオ”と呼ぶ場合がある。

 

■「峠」の意味 手向け説 から 撓む説へ

  山崎氏は、峠を「里と里をつなぐ境のかなめ」という。とはいっても車社会となり「峠」の下にトンネルが掘られた今、忘れれた交通の往来地名になりつつある。

  

 その「トウゲ」という名称の語源について池田末則氏は「地名の知識100」でこう述べている。

 トウゲは「手向け」という言葉の転じたもので、旅行者が旅の安全を祈って道祖神や地蔵尊に手向けをすることからきたと説かれており、これが従来からの通説となっている。タムケが音便によてトウゲとなった(中略)。この「手向け」説に対して、地形起源と説く考え方もある。

 トウゲとは、山の尾根がたわむようにへこんだ個所を選んで道が越えるところであるから、「撓む(たわむ)」からきたとみる説である。中国・四国方面で峠をタオやタワとというのは「撓む」と同じ語であることを物語っている。タオリという言葉も山頂の低くたわんだ所をいう古語である。(同書p86)

 四万十町でも「トー」とか「タオ」ということから、撓む説が有力のようである。

 池田氏は峠地名に「太郎峠」「俵峠」「田原坂」「鳥越」の地名をあげて、いずれもタオが太郎に、タオが俵(タワラ)に、タバル(まわるの古語)が田原(たばる)に、通(とおり)もまたタオリを意味すると転訛の経緯を述べている。鳥越は全国に分布するが渡り鳥の通路という意味でなく「とおり」→「タウリ」と推理する。これらの地名はいずれも峠を意味する言葉を連ねた重複語である。これから判断しても「手向け」説ではなく「撓む」説が新たな通説となる。

 

 「峠」はあの世とこの世、祈りの結界でもあることは間違いない。ためしに一人で近くの峠を訪ねてみてはどうだろう。だれも来ない峠で、ちょっと佇み、風を感じたら後ろを振り返ればいい。きっと「手向け」説も間違いないと感じさせられるような不思議な空間である。

 「西の伊勢参り」に対し「東の奥参り」といわれる出羽三山詣。その修験の山である羽黒山の麓に手向集落がある。羽黒山が現世、月山が前世、湯殿山が来世といわれるが、まさに三世時空の峠が手向集落ではなかろうか。

 

 

 服部英雄氏は『数々の峠を結ぶ”道・みち”。人が動き、ものが動く。「道」なくして人々の暮らしも成り立たず、歴史もあり得ない』と延べ、「道」と「峠」を通して歴史の群像を問うている(「峠の歴史学」)。

 服部氏は同書で①通行者のために道を守る側の視点②牛馬の目線の二つの視点でとらえ、峠と古道について、物資交流の道、信仰の道、軍事の道とに分けて各地を案内し探訪へといざなっている。

 

 

■四万十町の「峠」

 山間の土佐。なかんずく四万十町は、高知城下からの中村街道は久礼の港の海抜0mから一気に250mも上らなければならない七子峠から片坂までの仁井田七郷(窪川台地)、四万十川が仁井田郷から上流に流れるという上山郷(大正・十和)とからなる、山また山の景観である。

 その四万十川中流域のもう一つの特徴的景観は「穿入蛇行」といわれる回りくねる大川と流れ入る幾筋の谷川である。この曲流する川は平坦地のない急峻な河川護岸を形成し、人や牛馬の往来を阻むこととなった。必然的に往来には安全かつ距離的にも利得のある山越え峠越えとなる道づくりとなったのである。

 このことから四万十町には多くの峠が発生し、それぞれの峠には往来の物語が生まれることとなった。

 四万十町の民話に出てくる峠の名と物語の主人公の生業等をまとめてみた。

 

 ▽「大正のむかし話」 多賀一造・編(1989年/大正町教育委員会発行)

・「そそくり米さん(一)」 打井川地区の地蔵峠/駄賃(運賃をとって馬で荷を輸送する職業)の米さんの話

・「とっぴょう助」 打井川地区の野重峠/助エ門というおもしろいじんまの話

・「どっちが飲うでもええ」 三ツ又越え・小森の峠(富山村中ン谷)/政平というあわてもんの男の話

・「天ぐにさらわれた子ども」 打井川地区のじぞう峠/天狗にさらわれたユタカを探した登さんの話

・「杓子峠のいらずの山」 山中村と東上山村の村境の峠/向き合い地蔵の話

・「矢立坂の山犬」 矢立坂/江師村の山伏の話

・「馬之助神社(一)ウツボ谷」 野重峠/馬之助の悲話

 

 「峠の歴史学」の著者・服部氏の歴史学研究の特色は「あるき、み、きく」歴史学だといわれる。

 四万十町関連の文献史料やこれまでの出版物から峠地名に関する資料をあたり、峠と峠に関連する地名を「掻き暑め」第一弾としてこのコラムに表しながら、現地を「あるき、み、きく」ことにする。

 

■「峠」関連の地名一覧  

▽電子国土Web

①四万十町境の峠

四道峠七子峠六部が峠(実際は大野見分)杓子峠

②地区境の峠 

興津峠藤の越中ノ越河原越(隧道)笹の越(隧道)冬越、浦越、屋敷峠四手峠

③その他の峠関連地名

替坂本平串、茂串、鷺の串、堀切折付

※替坂本は加江坂のオリツキ(本)

※串は「越す」の転訛。峠のこと。要するにクシは「長く連なった高まり」。「抉る(くじる)」「崩れる」からきた崖崩れ地などの崩壊地名もある。四万十町にも中串の字が多い。

※折付(おりつき)は山道を里に降り立った最初の所。まさに降り着いたところ。

 

▽四万十町字マスター
①峠地名(とうげ・とう)
峠(とうげ/峰ノ上)、峠(とうげ/家地川)、相ヶ峠(あいがとうげ/日野地)、大峠(おおとうげ/市ノ又)、峠ノ下(とうげのした/木屋ケ内)、ヌタ峠(ぬたとうげ/里川)、松ヶ峠(まつがとうげ)/昭和)、保登峠(ほどとうげ/大井川)、峠ノダバ(とうのだば/久保川)、山伏峠(やまぶしとうげ/大道)、熊ノ峠(くまのとう/戸川)、松ヶ峠(まつがとうげ)/古城)、熊ノ峠(くまのとうげ/地吉)、峠ノ野山(とうげののやま/地吉)
②越地名(こし・こえ)
障子越(しょうじこえ/西原)、小越(こごえ/若井川)、鳥越(とりごえ/若井川)、冬越(ふゆごえ※ママ/若井川)、カラト越山(からとごえやま/峰ノ上)、越ト山(こしどやま/峰ノ上)、ヒヨトリ越(ひよとりごえ/峰ノ上)、カロト越(かろとごえ/金上野)、障子越(しょうじこえ/金上野)、見付越(みつけごえ/見付)、藤ノ越(ふじのこし/見付)、壱人越(ひとりごえ/根元原)、一人越(ひとりごえ/東川角)、鳥越ノ本(とりごえのもと/仕出原)、御堂ノ越(みどうのごえ/大向)、遅越(おそごえ/桧生原)、越戸ノウ子(こしどのうね/寺野)、石神越(いしがみごえ/南川口)、越ノ下(こしのした/南川口)、越ノ下(こしのした/秋丸)、上ミ越(かみみこし※ママ/七里)、馬越(うまごえ/勝賀野)、美野越シ(みのこし/勝賀野)、コシドノ上エ(こしどののうえ※ママ/川ノ内)、ホコノコシ(ほこのこし/作屋)、小越(こごえ/米奥)、越ノ下モ(こしのしも/米奥)、越ノ元(こしのもと/米奥)、堂ノ越(どうごえ/米奥)、越ノ下タ(こしのした/窪川中津川)、石神ノ越(いしがみのごえ/日野地)、柿谷越戸(かきのたにえつと※ママ/日野地)、ホヲジノ越(ほうじのこし/壱斗俵)、堀越(ほりこし/床鍋)、ユヅリハ越(ゆづりはこし/奥呉地)、小松越(こまつこし/黒石)、赤土越(あかつちごえ/本堂)、小越エ(こごえ/与津地)、藤ノ越(とうのこし/八千数)、堂ノ越(どうのこし/八千数)、笹ノ越(ささのごえ/藤の川)、笹越(ささごえ/向川)、笹ノ越(ささのこし/向川)、ミノコシ(みのこし/数神)、小松越(こまつごえ/土居)、飯ノ川越(はんのかわごえ/弘見)、宮ノ越(みやのこし/弘見)、小越(ここし/飯ノ川)、美ノ越(みのこし/飯ノ川)、見ノ越(みのこし/飯ノ川)、室ノ越(むろのこし/飯ノ川)、小越谷(こごえだに/志和峰)、志和越(しわごえ/志和峰)、矢井賀越(やいがごえ/志和峰)、尾曽越ノ下タ(おそごえのした/大正)、瀬里越ノ下タ(せりこしのした/大正)、札ノ越(ふだのこえ/大正)、フルコシ(ふるこし/上岡)、石神越(いしがみごえ/打井川)、オソ越(おそごえ/打井川)、越エ(こしえ※ママ/打井川)、佐賀越(さがごえ/打井川)、ヲク越(をくこし/打井川)、ヲソ越(おそごえ/打井川)、ミノコシ(みのこし/上宮)、石神越(いしかみこえ/上宮)、サキノコシサコ(さきのこしさこ/弘瀬)、船渡ノ越(ふなとのこし/大正北ノ川)、弓場越シ山(ゆみばこしやま/大正北ノ川)、ユノコエ(ゆのこえ/大正北ノ川)、コシ道(こしみち/大正北ノ川)、石神越(いしがみこえ/烏手)、宮ノ越(みやのこし/烏手)、山神ノ越(やまかみのこし/江師)、船戸ノ越(ふなとのこし/西ノ川)、越ノ畝(こしのせ※ママ/大正大奈路)、岡ノ越(おかのこし/大正中津川)、瀧ノ越(たきのこし/木屋ケ内)、越ノ下(こしのした/下津井)、赤坂越(あかさかごえ/里川)、宮越ノ駄場(みやごしのだば/茅吹手)、松ノ越(まつのこえ/昭和)、三島越(みしまこえ/昭和)、ミノコシ(みのこし/昭和)、井才越(いさいごし/大井川)、岸ノ越(きしのこえ/大井川)、中ノ越(なかのこし/大井川)、宮越(みやごえ/大井川)、鳥越(とりごえ/大道)、小越エ(こごえ/古城)、亀越ノ上(かめごしのうえ/地吉)、小谷越(こだねごし/地吉)、鳥越(とりごえ/地吉)、樽越(たるこし/十和川口)、石神越(いしがみごえ/井﨑)、坂本(さかもと/野地)
※「ミノコシ」は高知県内に多く、ミノコシ本来の意味は不明。ただ地形的にみると小さい尾根を越える小路のよう(土佐民俗選集Ⅱ)
※越を「こえ」と読むか「こし」と読むかは現地調査が必要。字マスターは正確でない。
③坂(さか)
中呼坂(なかよびさか/窪川)、呼坂(よびさか/窪川)、坂本(さかもと/高野)、西坂ヲリ付(にしさかおりつき/高野)、東坂ヲリ付(ひがしさかおりつき/高野)、カタ坂(かたさか/峰ノ上)、上坂(かみさか/金上野)、呼坂(こさか※ママ/根々崎)、小坂ノ本(こさかのもと/中村)、オリ坂(おりさか/作屋)、坂場(さかば/窪川北ノ川)、坂ノ畝(さかのせ※ママ/上秋丸)、坂本(さかもと/上秋丸)、ホヲジ坂(ほうじさか/上秋丸)、坂元(さかもと/壱斗俵)、宮ノ谷坂本(みやのたにさかもと/東北ノ川)、坂本(さかもと/奥呉地)、坂本(さかもと/魚ノ川)、坂本(さかもと/仁井田)、鞭カ坂(むちかざか/仁井田)、坂元(さかもと/平串)、坂塩(さかしお/黒石)、坂場(さかば/黒石)、、坂元(さかもと/黒石)、坂口(さかぐち/黒石)、西坂本(にしさかもと/与津地)、小坂場(こさかば/数神)、坂バ(さかば/飯ノ川)、八坂谷(やさかだに/上宮)、大坂(おおさか/江師)、向イ坂(むかいさか/江師)、尻坂(しりざか/里川)、坂本(さかもと/大井川)、坂本(さかもと/戸川)、坂ノ下(さかのした/地吉)、坂本(さかもと/地吉)
④串(くし)
中串(なかぐし/若井川)、平串(ひらぐし/東大奈路)、中串(なかぐし/家地川)、平串山(ひらぐしやま/影野)、宮ノ串(みやのくし/黒石)、宮ノ串(みやのくし/芳川)、中串山(大正大奈路)、中串(なかくし/下道)、上中串(かみなかぐし/大井川)、下中串(しもなかくし/大井川)、下モ野々串(しもののくし/大井川)、中串(なかくし/大井川)、中串林(なかくしばやし/大井川)、西野々串(にしののくし/大井川)、東串(ひがしくし/大井川)、東野々串(ひがしののくし/大井川)、三ツ串(みつくし/大井川)
※中串が特に多い。串地名の真ん中という意味ではないようだ。~ノコエ(越)がクシに転じて、ナクシとなったもので「中串」は越そのものではないか。手な心(たなごころ)→掌、目な子(まなこ)→眼、水な門(みなと)→港などと同じ上代複合語の例か。ミナコシも同じようにそれそのものが峠の意味を持つのではないか。
⑤傍示・標木・ホヲジ・ミオツクシ・矢掛
ホヲジ坂(ほおじざか/上秋丸)、ホヲジノ越(ほうじのこし/壱斗俵)、弥掛作り(やかけづくり/川ノ内)、表ヶ内山(ひょうがうちやま/窪川中津川)、三ツ串(みつくし/大井川)、ヒヨスゲ(ひよすげ/大道)
⑥休場
大休場(おおやすみば/東川角)、小休場(こやすみば/東川角)、休場(きゅうば/壱斗俵)、石ノ休場(いしのやすみば/浦越)
⑦地蔵
地蔵迫(じぞうさこ/桧生原)、地蔵ノ元(じぞうのもと/七里)、地蔵ノ上(じぞうのうえ/小野)、地蔵山(ぢぞうやま/古城)
⑧石・石神
コエヌ石(こえにいし/西原)、石神ノ本(いしかみのもと/若井)、石神ノ前(石神ノマエ/高野)、石神ノ前(いしかみのまえ/若井川)、石ノ元(いしのもと/若井川)、石神ノ元(いしがみのもと/宮内)、建石本(たていしもと/仕出原)、チカラ石(ちからいし/口神ノ川)、カラ石(からいし/中神ノ川)、石神迫(いしがみさこ/桧生原)、石神ノ前(いしかみのまえ/桧生原)、石神谷(いしがみだに/寺野)、石カサコ(いしかさこ/南川口)、石神越(いしがみごえ/南川口)、石セキ(いしせき/南川口)、石神(いしがみ/秋丸)、石神谷(いしがみたに/七里)、タレ石(たれいし/七里)、石神ノ向(いしかみのむかい/勝賀野)、立石(たていし/米奥)、石神山(いしがみやま/窪川中津川)、石神ノ越(いしがみのごえ/日野地)、石ガサコ(いしがさこ/壱斗俵)、立石(たていし/東北ノ川)、切石ヶナロ(きりいしけなろ※ママ/影野)、立石ノ本(たていしのもと/影野)、石黒本(いしくろもと/六反地)、石指(せきし/平串)、石ヶ森(いしがもり/黒石)、石指(せきし/黒石)、石ヶ森(いしがもり/本堂)、黒石村飛入石ウロ(くろいしむらとびいりいしうろ/本堂)、立石(たていし/本堂)、石神ノ本(いしがみのもと/向川)、石カハサコ(いしかはさこ/数神)、平石谷(ひらいしだに/奈路)、一七石(じゅうしちこく/平野)、立石(たちいし/土居)、呉石(くれいし/興津)、石路(いしじ/大正)、石神前(いしがみまえ/瀬里)、石神(いしがみ/上岡)、石ノサコ(いしのさこ/上岡)、石神(いしがみ/打井川)、石神越(いしがみごえ/打井川)、石神越(いしかみこえ/上宮)、力石(ちからいし/上宮)、石ノモト(いしのもと/大正北ノ川)、石ハライ(いしはらい/大正北ノ川)、石サシタ(いしさした/市ノ又)、石神越(いしがみこえ/烏手)、石神名路(いしがみなろ/相去)、石神(いしがみ/下津井)、石ノ休場(いしのやすみば/浦越)、石フシ西(いしふしにし/大井川)、石神(いしがみ/小野)、石神(いしがみ/大道)、石神(いしがみ/十川)、石井(いしい/十川)、石切谷(いしきりたに/十川)、石ノクボ(いしのくぼ/十川)、大石(おおいし/十川)、戸石ノサコ(といしのさこ/十川)、石ノ子(いしのこ/戸川)、クル石又山(くるいしまたやま/戸川)、打石ノ平(うちいしのひら/古城)、石神(いしがみ/地吉)、石亀口(いしがめぐち/地吉)、石突(いしづき/地吉)、石ガサコ(いしがさこ/十和川口)、馬ノ石(うまのいし/十和川口)、石ガ子(いしがね/井﨑)、石神越(いしがみごえ/井﨑)、フヂノ石(ふぢのいし/井﨑)
▽長宗我部地検帳
フキコシ(高野)、ミノコシ(高野)、カロウトノ越(金上野△峰ノ上)、イシタロウ芝コシ(西川角)、ミノコシ(西川角)、ミノコシ(仕出原)、ミノコシ(口神ノ川)、ミノコシ(七里・本在家)、ミノコシ(東北ノ川)、藤ノ越(藤の川△見付)、堂ノ越(米奥)、壱丁タウ子越(市生原)、ホリコシ(床鍋)、平越タ(平串)、ミノコシ(黒石)、ミノコシヤシキ(本堂)、ミノコシ(親ヶ内)、小越ノ谷(飯ノ川)、越(打井川)、遅越(おそごえ/古城)、亀越口(古城)、亀越口(地吉)、地吉越(地吉)、亀越(地吉)、遅越(地吉)
 
■「峠」シリーズ 続編を
 服部英雄氏は「峠の歴史学」で、峠はそれを守る村人の視点と物資往来の牛馬の視点で捉えなければならないという。
 四万十町には、信仰の峠【七子峠(ななことうげ/床鍋)】、勧業の峠【春分峠(しゅんぶんとうげ/窪川中津川△梼原町松原)】、塩の峠【地蔵峠・野重峠・赤土坂(じぞうとうげ・のじょうとう・あかつちさか/打井川△佐賀)】、文学の峠【杓子峠(しゃくしとうげ/大正△四万十市片魚)】など物語のある峠や古道がたくさんあるので、シリーズで紹介していきたい。 とりあえず町内の峠関連地名の全容をしめした。

里から里へは、牛馬とともに、はるか向こうの峠を越える(大正中津川の本村集落) 


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