よくある地名の語源 「さ」

さいさい(細々)【河内の旧村名】

 

  

さいのう才能)【旧窪川町の各地】

 県下でも窪川地区に多く分布するホノギ、字の地名。山際の水利に関する田畦の地形地名。

 全国的にも稀な才能姓が家地川にある。          詳しくは→「さいのう」

 

ざいけ(在家)【】

 

さかしま(坂島)【下津井】

 

さぎのくし(鷺の串)【家地川】

 

さがわ(佐川)【下津井。国有林野】

 

さきやま(崎山)【十川△久保川/標高568.5m】 

 

さこ(迫)【各地】

 

ささげしり(大角豆尻)【】〔須崎市下郷の大角豆集落、大角豆尻(南国市廿枝、須崎市下郷、大月町添ノ川)〕 

 大角豆は「ささげ」と読み、日本書記にも「荳角皇女を生みます。荳角、此を娑佐礙(ささげ)と云う」とあり、「大角豆」の初出は平安時代の『延喜式』『和名類聚抄』に「大角豆 一名白角豆(佐佐介)色如牙角故以名之」とある。莢(さや)を牙にみたて「細細牙(ささげ)」といった説、莢の先端が角ばっている説、莢があたかも物を差し上げたような形状をしている説などある。日本でも古くから栽培されている。

 語尾の「尻」は、高知県方言辞典が示すように「一定の作物を作る畑」のことで芋尻、胡麻尻、黍(キビ)尻、牛房(ゴボウ)尻、麦、稗など作物の語尾に着く場合が多い。

 ただ、○○尻と書かれた高知県内の小字は350余りある。川尻、池尻、井尻、谷尻、釣井尻や馬屋尻などの例もあり「畑」だけでは説明がつかないところもあり、「ものの後ろの部分」を意味する地形地名とする場合もある。

 

ささひらやま(笹平山)【大道△下津井/標高1034.8m】

 

さだぶん(蹉跎分)【中世の広域地名】

 中世の仁井田庄が仁井田庄八郷八番と言われたころの八郷の一つ。宮内村、仕出原村の蹉跎分2か村で神願分、神願番と言われた。金剛福寺の支配下であったため蹉跎山金剛福寺の号をとったもの。蹉跎は、サダは動詞サダル”落ちる”の語幹で”断崖”とか”陸が海に落ちた所=岬の説があり、山中の場合はサ”狭”・タ”所”などの意味があるが、谷川健一氏の「大隅半島の佐多岬、愛媛県の佐田岬などのサタは、先立つとか先導するという意味を持っている。海の向こうからやってくる神を迎える”サダル神”に由来。ミサキは御先で、サタとミサキは同義語」が一番しっくりくる。蹉跎岬は足摺岬の別称。

 

さで(サデ)【峰ノ上・檜生原・家地川・日野地・影野・弘瀬・市ノ又】

 樹木のない山の急斜面や伐木を落とすため急傾斜地の木を払った部分を静岡や和歌山や四国でこう呼ぶ。和歌山では伐木を落とす作業をサデという(分類山村語彙)。その材の搬出作業の進化形に「スラ(シュラ・修羅)」がある。山の傾斜面を利用して材木を投げ落とすため、路に敷く丸太の装置、その作業をスラという。スラスラという擬態語が地名になったひとつ。もっと発達した山中での運材装置は木馬(キンマ)である。緩やかな勾配の山道に簡便な枕木を敷き、その木馬道に材木を積んだ木組みを人力で引き滑らせる。滑るほどに危険な山仕事である。その後、軌道を敷設したトロッコ、それを機関車が牽引する森林鉄道に発展し、車社会の到来によりトラックへと進化していった。

 高知県方言辞典ではスラについて、うえの運材装置の説明のほかに、砂の上を船を動かすときに下へ敷く木(香南市)、湿気を防ぐため米俵の下に敷く角材(三原村)もスラと呼ぶとある。

 四万十町内の字名では、サデガスソ(家地川・影野)、サデノスソ(檜生原・弘瀬・市ノ又)、サデガ谷山(峰ノ上)、フタサデ(日野地)がある。また、長宗我部地検帳に記録された中世以来の地名(ホノギ)として、サテノスソウ子(檜生原)、サテノスソ(若井川・家地川・影野) 

 

さねひろ(実弘)【井﨑地区の集落・組】

 

 

さばい(サバイ・作倍・五月蠅・佐婆為)【サハイダ/仕出原、作倍・サバイ/香南市新宮、サバイガキ/香南市口西川、サバイギ/四万十市田野川乙】 

 高知県の中央部に多い小地名。サバイの語尾に「田」が付くことから、高知でいう「オサバイ様」で、田んぼの神様に関係する地名。高知方言辞典ではサバイは蚜虫(ありまき)と書いているが、アブラムシのことか。

 柳田国男の『田の神の祭り方(定本⑬p370)』にサバイについて詳しく書かれている。佐渡地方では用水から、水を引く最初の田を水口田といい田植え初めの儀式をする。三把苗を三つ構えて執り行うという。山の神が田の神として迎える祭事が水口祭であり、四国中国地方の「オサバイ様の祭り」となる。柳田は「オサバイ様の祭をする田はなるべく苗代から近くにある三角の田を選ぶ」と述べている。耕作する者が三角の形や三の数詞に神の依代としてのチカラを期待したのであろう。サバイは、田初めの神事の三把苗・サンバナエの転訛とも思える。サバイの語尾に付けられたサバイガキやサバイギの地名はオサバイ様の儀式に挿すための木を採取したことによる名づけであろう。

 香南市新宮に作倍の漢字を当てたサバイ地名がある。サは耕作のことを言う古語でもある。サッと伸びる生い立つ勢いを感じる「サ」は、サ・苗として水がはられ田にサ・乙女が植えていく。五月はゴがつではなく、サつきがふさわしい。 

 

さんでん(散田)【七里(柳瀬)】

 

さんはく(サンハク)【】