つるい(ツルイ・鶴居・釣井)

つるい(釣井・ツルイ)/つづきやま(続山)/つづらがわ(葛籠川)

(20170625現在)


■語源

 「ツルイ」について、下村效氏が土佐史談194号『長宗我部地検帳のツルイ』で詳しく述べている。

「地検帳で中世・近世の村落を分析しようとすれば、まず、その景観の復元作業が必須となるが、そのためにはこの”ツルイ”とは一体、どのようなものであるかを見極めなくてはならない。(中略)ツルイは井の原初的形態」

 として、ツルイを三類型に整理している。

 ▽第一型 谷のツルイ

 小渓の淀みに石などで足場を構え、上部を水汲み場、下部を洗い場とする、最も素朴な水場

 ▽第二型 山清水のツルイ

 崖の際に湧出する泉を石で囲った水場

 ▽第三型 泉井戸のツルイ

 崖から少し離れたところに石で囲んだ井筒がある。

 ▽第四型 派生型

  掛樋で簡便に導水し、水槽・水瓶の設えをする

 つまり、①小渓流に近く②ツルイの水位は低く、深い竪井戸(釣瓶井戸)ではない③個々の屋敷外にあり共同井として利用の3点が当時のツルイである。

 

 下村氏は、長宗我部地検帳にでてくる「ツルイ」地名を須崎市で悉皆調査をしている。その結果をまとめたのがこの四型類型である。

 是非、四万十町の「ツルイ」地名も悉皆調査しなければならない。

 

 

■四万十町の採取地

 四万十町の字一覧から、「ツルイ」地名を抽出すると次の26カ所となる。

 ウスツル井(宮内)、ツルイガスソ(家地川)、ツルイガ谷(七里・柳瀬)、ツル井ノモト(七里・西影山)、鶴居ノ原(七里・小野川)、ツルイガ谷(七里・志和分)、鶴井谷・鶴井ノ平(上秋丸)、ツルイノクボ(市生原)、下ツルイ(上宮)、ツルイノ谷(弘瀬)、ツルイノ谷(大正北ノ川)、ツルイ谷(相去)、柳ノツルイ(江師)、ツルイノ本(大正中津川)、カミツルイ・クボツルイ(下道)、ツルイノ谷(津賀)、ツルイノ谷・ツルイノ奥(昭和)、ツルイ本(河内)、奥釣井・釣井ノ口(地吉)、シモツルイ(十和川口)、ツルイ畑(広瀬)、ツル井ノヒタ(井﨑)

 

 

■四万十町外の採取地

 

 上ツルイ(いの町池ノ内)、ツルイノ上(いの町大内)、ツルイ(宿毛市押ノ川)、鶴井・鶴井ヶ谷(宿毛市小筑紫町湊)、ツルイヤシキ(宿毛市橋上町橋上)、鶴井ヶ谷(宿毛市平田町戸内)、ツルイ・ツルイダバ・ツルイ山(宿毛市平田町黒川)