■語源
高知県内には見残、見ノ越、三ノ越、箕ノ越、三野越があるが、ミノコシ本来の意味は不明。ただ地形的にみると小さな尾根を越える小みちのよう(民俗地名語彙辞典下p369)(土佐民俗選集Ⅱp2580)
ミノは美濃、三野、美野、見野などの漢字をあてた地名がある。ミは接頭語で美称、ノは(野)の意味。焼畑などに利用する傾斜地が野で平坦地は原である。ミノコシは「愛しいこの地を越えるところ」といったとこか。
不思議なことに飯ノ川地区には「見ノ越」と「美ノ越」のふたつのミノコシがある。
「見ノ越」はどうだろう。美濃のミノについて柳田国男氏は「一方が山地で、わずかな高低のあることを意味した」という。ミノは丘陵地帯の意味という。東又の丘陵地帯の北東端(弘見)から越えるところから「見ノ越」となるのか。
「美ノ越」はどうだろう。この飯ノ川の美ノ越付近はため池が多い。東又の広い農地を潤す水源地にもなっている。日本地名語彙辞典に「大阪に箕面(みのお)の滝があるが『ミノ(水)ヲ(脈)』の意で、滝水が山地から出た所の地」とあるが、ヲは水の尾にもつうじる。「美ノ越」は「ミノヲから上ノ加江へ越すところ」とも読める。
また、峰尾の転訛もある。ミ(水)・ノ(助)・ヲ(峰)で「分水嶺」を意味するか(地名用語語源辞典)
四万十町内の事例から読みとれば、一定の農地の広がるところから隣の村へ峠越えするところといった解釈ではどうだろうか。